今晩、町内のある旅館に行った時のことです。程よく、お年を重ねられたご夫妻が仲むつまじく、フロントの前を通りました。その二人は、女将さんに「命の洗濯をさせていただきました………」と深々と頭を下げられました。今まで人生の中では、いろいろなことがあったことでしょう。辛いこと悲しいことなどたくさんあったに違いありません。長い間連れ添ったご夫妻からいただいた女将さんの目は、うっすらと潤んでいました。このようなお褒めの言葉をいただけるなんて、女将冥利につきると思います。偶然、この場に居合わせた私もなんだか嬉しくなって帰ってきました。車窓には煌々と月光が入ってきました。今宵は十三夜といいます……。